コンサートや舞台公演だけが「ライブ」ではありません。いまやYouTube、Twitch、ニコニコ動画、TikTokなどの配信プラットフォームでも、毎日のように“ライブ”が行われています。そんな配信の裏で、技術・音響・映像などを支えるのが「ライブ配信スタッフ」です。この記事では、VTuberやアーティスト配信を支える配信スタッフの役割や必要スキル、キャリアパス、1日の流れなどを詳しくご紹介します。
ライブ配信スタッフとは?
ライブ配信スタッフは、インターネット上でリアルタイムに映像・音声を届ける配信の現場で、機材の準備・操作・監視などを担当する技術職です。映像制作会社、プロダクション、ライブ制作会社、個人配信者との業務提携など、活躍の場は多岐にわたります。
近年では特にVTuberやアーティストのライブ配信需要が増加しており、その裏方としての配信スタッフの重要性が注目されています。
主な仕事内容
1. 配信機材の準備と接続
マイク、カメラ、照明、キャプチャーボード、スイッチャー、ミキサーなどの機材を準備し、パソコンと接続します。安定した配信を行うために、回線のチェックも欠かせません。
2. 配信ソフト・エンコーダー設定
OBS、StreamYard、vMix、Wirecastなどの配信ソフトを使い、映像・音声・画面レイアウトの設定やストリーミング先の認証情報を入力します。
3. 本番オペレーション
配信中は映像の切り替え、音量バランス調整、コメントの確認、トラブル対応など、多くの操作をリアルタイムでこなします。複数画面を見ながら、秒単位での判断力が求められます。
4. 配信後のアーカイブ編集や報告
配信が終わったら、録画データの保存や編集、アーカイブアップロード、レポート作成などを行います。トラブルがあった場合は原因を分析し、次回改善につなげます。
どんな配信に関わる?
- VTuberの生配信(歌枠、雑談、ゲーム実況)
- アーティストのオンラインライブやリリースイベント
- 企業のWebセミナーやプロモーション配信
- eスポーツ大会や実況配信
- YouTuberのコラボ配信・企画動画
配信のジャンルにより、必要な演出・音響・映像の知識も変わってきます。
1日の流れ(あるVTuber配信現場の場合)
- 14:00:機材搬入・設営開始
- 15:00:配信レイアウトの確認、機材テスト
- 16:30:出演者リハーサル、画面確認
- 18:00:本番スタート(1〜2時間)
- 20:30:配信終了・撤収作業
- 21:30:録画チェック・報告書作成・撤収完了
現場によっては朝から丸一日かかる場合や、深夜のゲーム実況配信もあります。
必要なスキル・知識
- 配信ソフトの操作:OBSやvMixなどの基本操作に慣れる
- ネットワークの知識:回線速度・安定性の管理が重要
- 映像・音響機材の理解:カメラやマイク、スイッチャーなど
- トラブル対応力:配信中のフリーズ・音切れに即対応できる力
- マルチタスク処理力:複数の操作・指示を同時にこなせる集中力
技術以外にも「演出意図を読み取る力」や「気配り」も非常に重要な要素です。
年収・働き方
ライブ配信スタッフの収入は、雇用形態やスキルレベルによって幅があります。
- 企業所属(正社員):年収300〜500万円ほど
- フリーランス:1案件あたり3万円〜15万円(規模次第)
- 副業や個人運営:小規模配信で1日1万円前後
近年はフリーランスで活躍する人も多く、実績と機材投資で高単価案件を受注する流れもあります。
未経験から始めるには?
- 配信スタジオや制作会社でのアシスタントからスタート
- 小規模ライブやYouTubeチャンネルで経験を積む
- OBSやvMixを自宅で練習し、ポートフォリオを作る
- 専門学校で音響・映像技術を学ぶ
とにかく「配信を実際にやってみる」ことが、最大の学びになります。今ではノートPCひとつで配信環境が作れる時代。自宅練習でも即戦力に近づけます。
ライブ配信スタッフは、観客に“止まらない感動”を届けるための要となる存在です。舞台の裏で起こる秒単位の判断と操作が、ライブのクオリティを大きく左右します。VTuberやアーティストと共に、オンラインでの「今この瞬間」を創り出す仕事。その面白さと責任を、ぜひ体感してみてください。
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